研究概要 |
本研究ではCFRPおよびCFRTPのジュール加熱による成形を試みた。 1.炭素繊維/エポキシ樹脂プリプレグを用いたCFRPのジュール加熱成形を現有の簡易オートクレーブを用いて行った。板厚方向の通電は技術的に極めて難しいものであった。長手方向の通電は相対的に成形が容易で、通常のオートクレーブ成形板の90%以上の性能のものが成形できた。成果はAdvanced Composite Materials誌Vol.3,No.2,pp.153-161に掲載された。 2.本補助金により試作したCFRTP成形装置を用い、炭素繊維織物/ナイロン樹脂プリプレグを用いたCFRTPの成形を試みた。成形は、(1)ロールを成形温度に加熱し、連続成形を行うものと、(2)プリプレグに直接通電し、ジュール加熱により成形するものの2種類を行った。 (1)の方法では、幅25mm、長さ100mmといった小さいものではあるが、プリプレグ2〜10層の積層板の連続成形ができるようになった。ただし、現有の成形装置では、加圧のコントロールができず、また材料の最適送り速度の確定には至っていないなど、今後さらに検討を要する課題も残されている。 (2)の方法では、板厚方向への通電と、幅方向への通電を試みたが、板厚方向の通電は技術的に極めて困難であった。幅方向の通電は、試作したCFRTP成形装置がその目的に作られておらず、プリプレグのセットに工夫を要したが、通電自体は比較的容易であった。 以上の成形板をショートビーム法により層間せん断強さ試験を行った。結果は、ホットプレスで正常に作られたものよりは劣り、改良の余地が残されている。
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