| 研究概要 |
セラミックスのフレッティング疲労特性解明のため,まずセラミックス用フレッティング疲労試験装置の設計・試作を行い,これを用いHIP焼結窒化けい素のフレッティング疲労試験を行った。得られた主な結論をまとめると,以下の通りである。
(1)試作した試験装置は,フレッティング疲労に大きな影響を及ぼす,相対すべり振幅,接触面圧等のパラメータの制御・計測が可能であり,セラミックスのフレッティング疲労試験を行うに当って,十分な性能を有している。
(2)窒化けい素の疲労強度はフレッティングの作用により顕著な低下を示す。また,相対すべり振幅が0.5μmと,金属材料では通常フレッティング損傷を生じないような場合でも,明瞭な損傷が認められ,窒化けい素において,フレッティングの影響が顕著であることが分かった。
(3)窒化けい素のフレッティング疲労破壊は,金属材料の場合と同様,寿命のごく初期に発生したき裂が,フレッティングによる加速を受けながら伝ぱし破断に至る過程をとっている。
(4)フレッティング疲労強度には摩擦力のみならず相対すべり振幅や接触面圧などの因子が独立に関与しており,前者は主としてき裂伝ぱに,後者は主としてき裂発生に強く影響を及ぼす。
(5)繰返し疲労下および静疲労下の窒化けい素のフレッティング疲労強度はほぼ一致し,繰返し荷重はフレッティング疲労強度にほとんど影響を及ぼさない。
(6)窒化けい素同士の接触に比べ,鋼を接触材として用いた場合の方がフレッティング疲労強度が低下する場合がある。
|
