研究概要 |
1.ポリアミドー6とセルロースアセテートを供試材として暴露試験と引張試験を行い,重量変化と機械的特性の変化を調ベた。また,同時に赤外吸収スペクトルを測定し、赤外分光分析を行った。それにより,以下の結論を得た。 (1)PAにおいては,重量変化と引張強さの間には線形関係が成立する。すなわち,高湿度環境下で暴露されると重量と延性が増加し,低湿度環境下では逆の傾向となる。さらに,この関係は暴露履歴に依存せず,大気中の水分の吸排湿が重量変化の主要因であり,PAの暴露湿度に対する引張強さの変化は,材料が吸排湿した水分量によって決定される。 (2)CAにおいては,単一状態に暴露した場合には重量変化と降伏応力の変化量の間には線形関係が成立する。しかし,PAとは異なり,可塑剤の飛散が生じるので高温高湿度下では吸湿による変化を相殺し,重量,降伏応力とも変化量が僅かとなる。また,複合暴露試験の結果は先の線形関係上に位置せず,CAの暴露湿度に対する降伏応力の変化については,水分の吸排湿だけでなく可塑剤の飛散まで考慮する必要がある。 2.ポリプロピレンおよびポリカーボネイトフィルムを供試材として,紫外線,温度,応力の組み合わせによる暴露試験を行った。その後,引張試験,粘弾性測定,赤外分光分析を行い,以下の結論を得た。 (1)PPにおける紫外線劣化は,高温状態であるほど促進され,暴露試験期間中に負荷された応力による影響は少ない。さらに,Tg点におけるtanδが減少した。 (2)PCにおける紫外線劣化は,温度による影響は少ないが,暴露試験期間中に負荷された応力によって劣化が促進される傾向がある。
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