研究概要 |
金属基複合材料SiC_<CVD>/Ti-15-3(一方向強化連続繊維強化,繊維体積率V_f=34%)のクリープ挙動を調べるために,試験温度450℃,負荷応力σ=800〜1200MPaでクリープ伸びとともにAE(Acoustic Emission)を測定した.また,破断した試験片のマトリックスをエッチングし,繊維の状態を走査型顕微鏡により調べた.この結果,次のことがわかった. 1.σ=1000,1100,1200MPaのクリープ試験では,遷移クリープに続いて定常クリープが現われ,ひずみε(] SY.apprxeq. [)0.72%で破断に至った.一方,σ=800,900MPaの試験では,遷移クリープは生じたが,クリープひずみは飽和し,試験片が破断する兆候は認められなかった. 2.AEはσ=1000MPaの試験で最も多く検出され,負荷応力がこの応力より大きく,あるいは小さくなるとともにAE発生は減少した. 3.繊維の状態を観察した結果,σ=1000MPaの試験片では,繊維破断が破断面以外でも数ヵ所で生じていただけでなく,繊維コーティング層の損傷も見られた.また,σ=900MPaの試験でも繊維破断と繊維コーティング層の損傷が僅かながら生じていた. 以上の結果を総合すると,次のように結論できる.まず応力の高い場合には,マトリックスの応力緩和に伴って繊維応力σ_fが増し,この結果σ_fが繊維の破断応力を超え,複合材全体の破断が生じる.次に中間の応力では,このような機構に内部損傷が加わることにより,クリープが定常的に進行し,破断に至る.一方,応力の低い場合には,マトリックスの応力緩和により繊維応力σ_fの増加は小さいため,破断は起きにくく,またクリープひずみの飽和が生じる.
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