研究概要 |
担当者は,これまでに提案した2次元き裂逆問題の解析手法を3次元問題に拡張し,実用上重要なモードI型表面き裂の同定問題の解析を行い,得られた知見を以下に示す. (1)これまで2次元問題において提案した体積力法の考えに基づいたき裂探索の効率化の手法を3次元問題に拡張した.また,ひずみ場の順解析の際,き裂を有限個の集中力対で代表させ,その力対の大きさをデータベースとして援用することで,き裂によるひずみ場の高速計算を可能とした. (2)き裂位置に比べき裂寸法は求まりにくいため,き裂寸法を詳細に同定する手順を導入した.き裂寸法a,bを未知パラメータとして勾配探索を行う方法[Method(a)],き裂寸法a,bの代わりにき裂面積S,形状比b/aを用いる方法[Method(b)]および担当者が提案した方法[Method(c)]の3種類の探索スキームによる結果を比較検討することにより,き裂寸法を高精度に推定することに成功した.このことから,適切な逆問題解を得るためには,未知パラメータの選択に注意する必要があるだけでなく,そのパラメータのひずみ場への影響をも考慮した探索手法が必要となることが明らかとなった. (3)担当者が提案した手法により,き裂の位置X_0,Z_0,き裂寸法a,bおよび外部荷重σ^∞の値が,b/a≦2.0の全範囲にわたって少ない計算時間(ワークステーションSUN ELC 4/25 FM-8で1分程度)で,精度良く同定できることを示した.また,ひずみの測定領域に対しき裂の大きさがa/bx≧1/100であり,き裂の位置が測定点よりき裂半長a以上離れていれば,本解析法が有効であることがわかった.
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