研究課題/領域番号 |
04650133
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
機械要素
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
大前 伸夫 大阪大学, 工学部, 助教授 (60029345)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
1992年度: 2,200千円 (直接経費: 2,200千円)
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キーワード | フラーレン / C_<60>(カーボン60) / FIM / 原子構造 / トライボロジー |
研究概要 |
サッカーボールの様な形状を有することから、C_<60>カーボンクラスター(フラーレン)は画期的な固体潤滑剤となり得る可能性を有している。しかしながら、このような原子構造が現在までに観察されたわけではなく、光学的分光法や核磁気共鳴法などによって構造を推測しているに過ぎない。また近年急速な発展を遂げている走査プローブ顕微鏡(SPM)さえもC_<60>の原子構造を直視するには至っていない。極表面におけるアトミックオーダの相互作用が重要であるマイクロトライボロジーにC_<60>を有効に活用するため、本研究ではまず電界イオン顕微鏡(FIM)を用いてその原子構造を明らかにすることを目的とし、さらにそのマイクロトライボロジー特性について考察を行った。本研究室現有のFIMに改良を加え、C_<60>観察用の液体窒素コールドフィンガーを取りつけ、タングステンチップの頂上にC_<60>を塗布し、ネオンガスを用いて結像を計ったが本研究者がカーボン繊維の原子構造で得たような明瞭な像は観察されなかった。実験を繰り返した結果、ヘリウムガスを用いてイメージ電圧10.8kV、ガス圧力4×10^<-2>Paの結像条件において、30個以上のカーボン原子が写し出され、6個の六角形と3個の五角形を同定する事ができた。この結果はサッカーボールを赤道で切った場合の約半分の原子構造を明らかにしたもので、国内外を問わず初めての結果であると評価される。また、チップ上のC_<60>と金プレートとの間の摩擦特性を測定した結果、約0.15の結果を得たが、FIMの超高真空中、温度90Kにおける摩擦係数であるので、大気中でのマイクロトライボロジーについてはさらに検討する必要がある。これらの結果は本年6月、アメリカ合衆国、マサチューセッツ工科大学における、ラビノウィッツ教授メモリアル国際シンポジウムにおいて発表の予定である。
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