研究概要 |
本研究は、鈍い前縁を有する平板まわりの二次元流れを取り上げ,剥離域内部から再付着領域,さらに再付着後の境界層発達領域における速度変動と温度変動の信頼度の高い高精度の測定方法を確立するとともに,相関分析・スペクトル分析等を通して,剥離と再付着を伴う複雑な乱流系における熱輸送機構を解明しようとするものである。平成4〜5年度において得られた結果の主たるものは次のようである。 従来よく使用されているX-ワイヤプロープに比較して位置の分解能が格段にすぐれているスプリットフィルムプローブを主として使用することにより,逆流率の測定が可能となり,また,2方向の平均および変動速度特性が測定された。その結果,熱伝達率の極大値が時間平均再付着点より板厚の70%程度下流に位置すること,温度乱れ強さが最大となる位置は速度変動と乱流剪断応力が最大となる位置の外側にあること,剥離剪断層にみられる低周波の揺動と再付着領域および熱伝達率が最大となる壁面近傍の温度変動との相関は比較的小さいことなどが明らかとなった。 速度変動と温度変動のゆがみ度と偏平度を算出することにより,流れ場の大規模渦構造が特に主流方向速度変動にゆがみをもたらすこと,温度変動はそれに強く依存する。ミニチュア×プローブに冷線を組み合せたトリプルワイヤプローブを試作し,2方向速度変動と温度変動の同時測定を行うことにより,主流およびそれに垂直方向の乱流熱流束を算出し,その特性を明らかにすることができた。
|