(1)気流中の粒子の存在による乱流構造の変化の定式化、いわゆる乱流量に対する粒子ソースタームの開発を試みた。従来、一般に用いられてきたモデルでは、粒子添加による乱流強度の局所的な減少は評価できても、増加に転じる現象を再現することはできなった。本研究では、粒子後流(ウェイク)に作られる乱れが、周囲流体の巨視的乱流スケールとの相対的な大きさによって乱流エネルギーに寄与する過程を、粒子の添加による乱れの促進および抑制機構に結び付けてモデル化した。本モデルは、その妥当性検証のため、まず固気混相自由噴流および円管内固気混相流の数値シミュレーションに適用され、局所的な乱れの増加・減少を再現することができた。 (2)エロージョン素過程に関する実験では、エロージョンの衝突速度、衝突角度・材料温度各々の対する依存性を明らかにした。特に、速度に関しては、一般にエロージョン量は速度のべき乗に比例することが確かめられているが、そのべき数は、従来用いられてきた経験定数より、より理論式に近い値を測定することができた。これは、本研究の最終目的であるエロージョンの数値予測に大いに役立つ結果である。また、矩形直角ダクト内のエロージョンを測定し、その数値予測を行った。数値予測に際しては、前述の素過程実験で得られた結果をもとにモデル定数群を構成し、マイクロダイナミクス的手法を用いて行った。希薄な固気混相流でダクト実験を行ったため、前項(1)の粒子ソースタームはアルゴリズムの中には組み込まなかったが、エロージョンの分布および定量的予測に関して良好な結果を得ることができた。
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