研究概要 |
人間の歩行では,重力場を巧みに利用し,不安定な倒立振子としての運動を次々と続けることによって,全体として安定な運動が形成されている.本研究は,段差のある環境において,このような歩行をロボットで実現することを目指して行い,以下の結果を得た. 1. 両脚支持期における動力学モデルより,段差のある環境における最適な関節トルク配分を決定した.これに際しては,足底の滑り,浮き上がりを起こさないトルク配分のなかで合計トルクが最小となるものを選んだ.このトルク配分を,計算機にテーブルとして記憶し,歩行実験時に用いた. 2. 平成3年度まで実験に用いてきた2足歩行ロボットは,足首トルクセンサを有していたが,さらに本研究の実験のために足底圧センサを付加した.また,段差のある環境を移動するためには,正確な傾斜角および傾斜角速度の計測が必要となる.そこで,設備備品費で購入した光ファイバジャイロをロボットの胴体部に取り付けた. 3. 単脚支持期及び両脚支持期における動力学モデルより,段差のある環境における最適な角運動量変化パターンを求めた.歩行制御は,この角運動量変化パターンに歩行ロボットの角運動量を近づけるように行った. 4. 連続した登りの階段における最適な角動量変化パターンを求め,次にこの角運量変化を実現する関節トルク配分を決定した.このトルク配分を用いて,足底圧センサ及び光ファイバジャイロを用いた姿勢角センサを備えた2足歩行ロボットにより歩行実験を行った.
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