研究概要 |
本研究課題に関して,次のような成果を得た。 1.相関のある二つの情報源出力(X,Y)をシャノンの暗号システムを通して伝送する時,以下に示すようなケースを考えることができ,それらの場合に対する符号化定理が従来の理論では求まらないことを示した。さらに,2.で示す共通情報量を達成する符号化法を用いて,その各々の場合について符号化定理を完全に証明した。 ・二つの情報(X,Y)のうち,秘密に保たなければならない情報がXだけの場合,Yだけの場合,XとY両方の場合。 ・二つの情報(X,Y)のうち,復号器で復元しなければならない情報がXだけの場合,Yだけの場合,XとY両方の場合。 ・暗号文をWとした時,システムの安全性を1/KH(X^KY^K|W)で評価する場合と,(1/KH(X^K|W),1/KH(Y^K|W))で評価する場合。 2.二つの相関のある情報源出力(X,Y)に対して,共通情報量(Common information)を定義できるが,今まで知られていたGacs-KornerやWynerの共通情報量と異なる,以下に示す二通りの共通情報量の定義を与えた。 (a)C_1(X;Y):X^KY^Kから可能な限り,個別情報を取り除いた時に残る最小の核のレイト (b)C_2(X;Y):もし,Vcを失うと,X^KとY^Kの両方のあいまいさがH(Vc)になるような,X^KY^Kの共通の最大の核のレイト これらの新しく定義した共通情報量の大きさを理論的に評価し,C_1(X;Y)=I(X;Y),C_2(X;Y)=max{H(X),H(Y)}となることを証明した。
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