1。内外の文献および、国内の関連研究機関訪問等によって、三次元散乱体による電磁波散乱の境界要素による解析に関する研究の現状と問題点について調査をおこなった。その結果、三次元散乱の数値解析には、数波長程度の散乱体に対してさえ、かなりのメモリ容量と高速演算の計算機が必要であり、計算精度と経済性のトレードオフを計る必要がある。 2。現有のワークステーション(サンマイクロ社製スパーク2および1+)2台のメモリ容量を増強するためにSIMMを購入し、各60MBの領域を利用できるようにした。 3。完全導体上に設けられた方形ピットモデルに対するシミュレーションを行い、積分領域、分割面素の大きさ、分割数等によって計算精度がどのように変わるかを調べた結果、照射光ビームの強度が大きい中心部分を十分細かく分割する必要があることが明らかになった。また、ここでのシミュレーションでは、一辺が半波長の方形ピットにスポットサイズ内の照射面積がピットの断面積の2倍としたが、それに対して積分領域は3波長程度でほぼ満足できる結果が得られることがわかった。 4。隣接案内溝と信号ピットが同時に存在するモデルのシミュレーションを試みた。その結果、必然的に積分領域が広がり、散乱パターン一つを得るのに10時間程度のCPUタイムが必要であることがわかった。 5。更に、一般的なモデル(例えば多層構造誘電体モデル等)にアプローチするためには、現有の装置ではかなり無理があるので、より高性能のシステムが必要である。
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