研究概要 |
レンジセンサーを用いて測定された疎な距離データと,高次な曲面を持つ披測定物体のモデルを用いて,物体の姿勢を決定する方式を開発した.また幾何情報管理のためのデータ構造の研究を併せて行った.形状モデルをベースに3D物体の姿勢を決定する研究は種々行われているが,本研究の特色は自由形状物体を対象としている点にある.対象物体のモデルはスプライン曲面で表現され,レンジセンサーからは,3次元空間中の座標値と法線方向ベクトルが得られることを仮定している.本研究で扱った問題は,n個の物体上の点位置が測定されたとき,それらの点をモデル上の点に対応付けることにより,アフィン変換の係数を求め,披測定物体の位置と姿勢を決定することである.モデルと測定点との対応付けは,(1)測定点間の距離,(2)測定点相互の法線方向のなす角度,(3)任意の2測定点を結ぶベクトルと,各測定点の法線方向のなす角度,という幾何的な拘束条件を定め,測定データと矛盾しない範囲をモデル上で順次絞り込む方式で実行している.この幾何拘束条件の検査をモデル上で階層的に行うことにより処理時間の短縮を図った.具体的には,実体表面を三角パッチで階層的に分割し,幾何拘束条件の検査はこのパッチ面に対して行っている.この様に近似した場合,実際の形状との誤差が問題となるが,例えば法線方向では,三角パッチの法線方向を対応するモデル上での代表的な法線方向とし,実際の形状とのずれをコーン状の範囲で表し,その範囲に入っている場合は測定点がそのパッチ上に存在したとしても矛盾はないとする形で吸収している.距離や2点間の方向ベクトルの拘束条件についても同様である.この方式をワークステーションに実現し,動作の確認を行った.
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