研究概要 |
最近、人間の脳神経を模倣した人工ニューラルネットワークの研究が盛んに行われている。本研究は、基本パターンが回転・位置ずれ・拡大縮小の変換を受けたパターンも認識できる三つの新しいニューラルネットモデルを提案したものである。従来モデルは回転・位置ずれ・拡大縮小が入力メッシュのメッシュ単位ごとに限られており、多大なネットワーク規模で多大な学習並びに認識時間を要している。提案したネットモデルは、任意の大きさの変換に対応できるにもかかわらず,いずれも3層型のニューラルネットから構成されており、学習が一般的な誤差逆伝播法からなるもので、構築が簡単である利点をもつ。提案したネットモデルの特徴は以下の通りである。(1)任意の回転パターンを自動生成する能力をもち、ネット自ら学習負荷と認識負荷を調整することができるモデル。(2)学習時に回転・位置ずれのパターンをかき混ぜて、それらを学習するモデルで、回転・位置ずれに不変となるネット構造が得られる。(3)基本的な学習で得られた結果を、ある規則に従って複写することにより、短時間で目的が得られる。 本研究の実験結果から、いずれの提案モデルも従来モデルに比べ、ネットワーク規模が小さく、構造も簡素で、学習並びに認識時間も大幅に短縮されるなど,性能的に優れたネットモデルが実証された。本研究は学会論文として6編,紀要・研究会に5編・口頭発表を7件行い、満足いく成果が得られた。今後は、これらの成果を基に、実用に向けて研究を推進する予定である。最後に、本研究が予定通り遂行できたことにあたり、関係各位に深く感謝致します。
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