研究概要 |
(1)山岳地形の定義法:尾根線再帰生成法により自動生成した架空の山岳地形に,Musgraveの侵食アルゴリズムによる形状変形操作を施すことを試みた.侵食が進んだ険しい形状や,風化により丸みを帯びた形状など,様々な年代の自然な印象を受ける山岳形状へ変形可能であるという見通しを得た.また,侵食モデルを詳細に検討し,侵食を有効に行うためのパラメタ設定法を明確にした.なお,このモデルの侵食の動作メカニズムは,自然な侵食のメカニズムを反映したものとはいいがたく,適用対象によっては,意図した侵食形状を得ることが困難な場合もあることがわかった.今後は,この点を改良した侵食モデルを開発する. (2)季節感の表現法:実際の山岳の植生について地理的・地形的・地質的要因により決定される植生分布について文献調査し,これに基づき樹木の植生を自動生成する手法を開発した.本手法ではディジタル地形モデルの表面の特徴から植生を自動生成するため,実際の山,架空の山を問わず適用可能であるという特徴を持つ. また,樹木の生い茂った山岳景観を表現するための簡易レンダラを開発し,季節変化のシミュレーションを行った. (3)山林のテクスチャ:樹木の成長アルゴリズムにより自動生成された3次元の樹木の幾何データから,直接山林の3次元テクスチャを生成する手法を開発した.これにより,複数の樹種が混在する複雑なテクスチャの生成が容易となった. (4)降雪・積雪の表現法:積雪形状を定義するための,ボクセル上で動作する雪粒子の行動モデルを開発した.このモデルにより,冠雪などの典型的な積雪の3次元形状を定義することが可能となった.降雪は,3次元渦場による手法を基礎として開発した.これらにより,建物や樹木,庭石,灯篭などが存在する小規模な環境での降雪・積雪を表現した.
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