研究概要 |
1.柔らかい平面状アプリケータとして,アンテナ素子及び地板に銅メッシュを,誘電体に発泡ポリウレタンを用いた平面アンテナを提案し,実験的に加温特性の評価を行った. (1)広範囲な加温を行うため,給電点が多数設けられたアプリケータを用いて,寒天ファントムの加温実験を行った結果,比較的広範囲かつ均一な加温分布を得た.給電点数を増やすほど加温範囲が広がり,温度勾配の小さい均一な加温分布が実現された. (2)上記アプリケータの反射特性を測定したところ,反射特性が非常に悪いことが明らかになった.この原因は,誘電体シートと人体の誘電率差が大きいことによると考えられる. 2.人体と電気的特性がよく似た生理食塩水を満たしたボーラス中に,ワイヤを組み合わせて形成された放射素子を配置する形状の平面アンテナを提案し,主に理論的に加温特性の評価を行った. (1)ボーラスと人体の誘電率がほぼ等しいことを利用して,均質媒質で表現される解析モデルを提案し,モーメント法を用いた計算プログラムを作成した. (2)直線構造の基本的な素子を試作して,生理食塩水中で電流分布を測定し,計算結果と比較した結果,両者はよく一致し,解析モデルの妥当性を示した. (3)ワイヤを平面状に組み合わせたアンテナに対して,給電位置および給電位相を変化させた場合の電流分布およびSAR分布(発熱分布)を計算した.その結果,約1cmの深さまでの加温が可能であり,また給電位置および位相の変化により,加温範囲を制御できることを明らかにした.
|