研究概要 |
1.マイクロストリップ線路への適応性がよいクロスオーバを利用した8ポート回路を提案した.本回路は,分岐線路部の特性インピーダンスを任意に設定できるなどの特長がある.実験的にも構成法の妥当性を確認した. 2.(1)ブランチライン形8ポート回路において、1/4波長結合線路と外部整合回路を用いて広帯域化する場合の正確な設計理論を確立し,約20%の比帯域幅を実現すると共に,その帯域にわたって分配特性が著しく平坦となることを明らかにした.(2)上記1.の8ポート回路については,外部整合回路を用いた広帯域化は実現不可能であるが,分岐線路インピーダンスの選定により帯域特性が大きく変化することを明らかにした. 3.ブランチライン形16ポートおよび32ポートハイブリッド回路の構成法を示し,併せて1/4波長結合線路による帯域改善法について検討した.その結果,両回路とも約15%の比帯域幅にわたって平坦な分配特性を実現できた.ポート数の増大にもかかわらず,同程度の帯域幅を維持できることは興味深い結果である. 4.完全整合,分離,等分配および無損失条件から,本回路が有する散乱行列要素の一般的特性(位相関係)の理論的検討を行い,8ポート回路については一般的な関係式の導出に成功した.また,2軸対称性を有する8ポート回路では,同相/逆相または90°位相差の出力位相関係を実現できることも示した. 5.本回路の応用の一つとして,8ポートハイブリッド回路を利用した4個の発振器の電力合成運転法を提案し,その特性について詳しく論じた.この運転系は4個の発振器の電力合成が可能であるばかりでなく,簡単な回路操作によって合成出力を4方向へ切り替え運転できるという特長を有している. 6.他の研究者によって最近開発された回路も含めて各種マルチポートハイブリッド回路の特徴を比較検討した.
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