研究概要 |
本研究の目的は,環境情報を高速かつ高い信頼度で獲得できるアクティブなステレオビジョンシステムを構築することである. 平成4年度は,アクティブな両眼視差の検出アルゴリズムの開発と,カメラの運動を制御するために必要なハードウエアとソフトウエアを作成した.アクティブな両眼視差の検出方法の研究においては,観測者のアクティブな運動によりステレオ対応問題が簡単になり,従来のパッシブな観測者では困難であったオクルージョンやフェンス越しのシーンのような特徴の無いシーンに対しても,高速かつ高い信頼度で両眼視差を検出することが可能であることを示した. 平成5年度は,平成4年度に提案したアルゴリズムを,曲面を含んだ一般のシーンに対しても環境の奥行きが計測できるように拡張した.一般に,曲面物体を撮影した場合,その画像中での輪郭は隠れ輪郭と呼ばれ,物理的には存在しない偽の輪郭である.したがって,そのような隠れ輪郭のステレオ対応を取れば,誤った3次元位置を獲得することに継り,従来からステレオ法の問題点とされてきた.本研究では,アクティブな視点の移動に伴う隠れ輪郭の見え方をモデル化することにより,シーン中のエッジを,1)ステレオ対応の取れるエッジ,2)オクルージョンの生じているエッジ,3)曲面の隠れ輪郭であるエッジ,に分類することができた.またその結果,1)については両眼ステレオにより精度の高い3次元位置を,2)についてはモーションステレオにより粗い3次元位置を,また3)については,曲面の局所的な曲率半径を計算することができた.曲面の曲率半径の情報が得られれば,シーン中の曲面物体の検出ができるだけでなく,その局所表面を再構成することも可能となる.また,これらの情報は曲面物体を認識するときの有力な手がかりにもなると考えられる.
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