研究概要 |
1.下水道管渠網における遷移流(開水路流れ(〕 SY.dblharw. 〔)圧力流れ)の数値計算法 はじめに,都市下水道管渠網でしばしば発生する開水路流れと圧力流れ(サーチャージ流れ)の間の遷移流れに対する安定で高精度の数値解析法について,特性曲線法を用いる立場からの検討を進めた.得られた興味ある知見の幾つかを以下に示す.(1)特性曲線式および特性方程式の新たな差分スキームとして,流れの遷移を含む計算領域Δx・Δtに限って計算時間間隔ΔtをM個に等分割し,特性曲線に沿って各水理量の変化を忠実に追跡・積分してゆく逐次積分型スキームを提案した。(2)これまで経験的に明らかにされていたMの適値(M〓30)を理論的に導出した.(3)本スキームが高度の有用性と実用性を有することは,数値実験および下水管渠模型による流出実験によっても確かめられた. 2.下水道管渠網におけるマンホールの水理学的役割 次に,下水道管渠網に多数存在するマンホールがサーチャージ流れ(圧力流れ)の流出特性に及ぼす影響について検討を進め,以下の興味ある知見を得た.(1)下水道管渠網におけるサーチャージ流れの圧力波伝播速度の式を理論的に導出した.(2)これより,とりわけマンホールがサーチャージ流出特性を決定づける最も重要な流出要素であることを明らかにした.(3)圧力波伝播速度の無次元量CM_*が5を下回る下水管渠システムでは(あるいは,枝線管渠まで考慮する詳細な浸水はんらん解析では),決してマンホールを無視した解析を行ってはならないことを明らかにした.(4)最後に,松山・名古屋・大阪・神戸の各市の下水道流域における浸水はんらん資料を入手・解析し,マンホール蓋飛散を伴う浸水はさんらん現象の発生のメカニズムを明らかにした.
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