研究概要 |
本研究では,情報通信技術の進展の影響が特に大きいと思われる業務交通に着目し,情報化の進展と業務交通需要との関連について分析した.すなわち,業務交通を都市内交通と都市間交通とに分け,情報通信技術との関連性・代替性について検討を行った.具体的には,事業所内における業務交通の内容分析と情報メディア利用状況の調査を実施,業務交通を情報交換の一手段と考えた場合の業務目的別の情報メディア選択モデルの構築,情報通信技術の進展が将来の業務交通の需要に及ぼす影響の定量的分析を行った. ・事業所における業務活動の内容と情報メディアの利用状況の調査として,仙台都心部にある企業においてアンケート調査を実施し,都市内業務交通の実態と情報メディアの利用状況を分析し,その代替性について検討した.また,都市間交通に対応して電気機械産業で事業所を全国展開している企業においてアンケート調査を実施し,情報伝達活動の内容について分類整理を行った.また,各種情報メディアおよびface-to-faceの発生量の把握を行い、発生原単位を求めた. 情報メディア選択モデル作成のためには、各種情報メディアの定性的要因の属性値を設定する必要がある.各個人の各種情報メディアに対する定性的要因の属性値をAHP手法により定量化した.また,各種業務活動における各属性の必要度についても同様の方法により定量化した.さらに,face-to-faceの代替可能メディアに対する序列データも収集し,これらのデータからコンジョイントロジットモデルにより情報メディア選択モデルを作成した.社内では費用のかからないメディアを社外では情報量の多いメディアを選好している.このことから,情報通信技術の進展による大量な情報通信のコストダウンによりface-to-face(交通)から情報通信への転換可能性が明らかになった.
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