研究概要 |
都市部における道路網の容量は,道路区間(リンク)の容量だけではなく,駐車場の容量によっても規定されている。また,路上駐車によるリンクの容量減少が,ネットワーク全体の容量を低下させていることも事実である。駐車場を整備してもリンク容量に余裕がなければ道路網全体としての交通処理能力は向上しないし,逆に道路区間を整備しても駐車の制約が厳しければ必ずしも容量増強効果を生むとは限らない。道路区間容量と駐車容量のいずれがネットワーク容量を支配しているかがわかれば,両者の適切な整備量の目安を知ることができる。 本研究の目的は,従来の最大容量モデルに駐車場容量を組み込むことにより,道路網と駐車場を同時に考慮したネットワークの最大容量推定モデルを開発することにあった。このようなモデルを示すことは,道路網全体の処理能力を向上させるための駐車容量とリンク容量のバランスのとれた適切な整備量を検討する際や,駐車場の整備効果を道路網の容量の増大効果という視点から評価する際に有用である。 本研究によって得られた具体的な成果は以下の通りである。(1)実用性の面で優れている配分シミュレーション法を用いた最大容量推計モデルを提案し,その改良と精緻化を図った。(2)提案したモデルを愛媛県松山市および今治市の道路網へ適用し,駐車場整備効果を論じる上でのモデルのパフォーマンスを吟味した。 (3)LPを用いてトリップエンドでの駐車容量制約を考慮した最大容量モデルを定式化するとともに,松山市道路網への適用計算を行った。
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