研究概要 |
本研究では,信頼性の高い道路網整備計画および運用計画のために,大規模道路網の信頼性解析法を開発することを目的としている.特に道路網では,あるルートが閉鎖された場合,大量の迂回交通が発生して他のルートの円滑な走行移動にも重大な影響を与える.したがって,本研究では経路交通フローを明示的に考慮した信頼性解析法を開発した.本信頼性解析モデルは,(1)個別のリンク(道路区間)の信頼度推定モデルと,(2)リンクの信頼度からノード間信頼度を求めるシステム信頼性解析モデルの両者から構成されている。 本研究で開発された方法は、リンクフローの平均値と交通容量とからリンクフローの変動係数推定を介在させてリンク信頼度を求める方法である.このため,交通量配分を1回のみ行うことでリンク信頼度推定が可能となっている.同じく本研究で開発したノード間信頼度推定法と上記の方法を組み合わせることで,容易にネットワークの信頼性が評価できるようになっている.この簡便性により,データ制約の多い予測や代替案比較に十分耐えられる信頼性解析法である点に大きな特色がある.本研究での成果は以下のとおりである. 本研究ではまず,交通量の変動を分析した上で,開発したリンク信頼度推定法の妥当性を検証した.次に、リンク信頼度推定法とノード間信頼度推定法を結合し,実規模の道路網に適用して,一方通行の導入された道路網での信頼性向上効果を定量化した.また,交通量の変動を所要時間の変動に変換する方法を開発し,実際の道路網に適用した.さらに,1989年ロマ・プリエタ地震前後で大きく変化したサンフランシスコ湾岸地域の道路網に信頼性解析を適用し,道路網の災害時の運用の重要性を述べている. 本年度は,本研究の最終年度にあたるため,研究成果報告書を作成し添付している.
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