研究概要 |
磁気処理水は核膜に対する水の透過性を増加させ、生物活性の増加や植物の成長を助長させるとともに、水の浄化では飲料水の質を高め、凝集剤添加量を軽減できると言われており、回転円板(RBC)法による廃水処理に関しても何等の影響があると考えられる。しかし、磁気処理した水の状態を数量的に評価する手法が確立されていないのが現状である。本研究では、磁気処理した水の状態を数量的に評価するための一手法として核磁気共鳴(NMR)スペクトルの手法を用いた水の磁気処理効果と磁気処理水と無処理した原水をRBCに利用した場合の実験を行い次のような結果を得た。 1)管内流速3m/sまではNMRスペクトル半値幅にほとんど影響がなかったが、それ以上の流速になると半値幅が急激に減少し始め、磁気処理装置は管内流速が3m/s以上でないと磁気の効果が無いことが判明した。管内流速を4.25m/s,4.9m/sに固定し場合の磁気処理時間と水のNMRスペクトル半値幅の関係では処理前の水道水と磁気処理した水道水では水の状態は明らかに異なり、水道水を磁気処理するといずれの場合にもNMRスペクトル半値幅が小さくなることが判明した。また、管内流速が4.25m/s、4.9m/sの場合、NMRスペクトル半値幅の値が一定になる磁気処理時間と値はそれぞれ2時間で122Hz、0.5時間で112Hzとなった。このように管内流速が早くなれば、NMRスペクトル半値幅は短時間で安定し、小さくなることが判明した。 2)有機物として澱粉を用した人工基質をRBC装置に供給した場合のTOCフラックスと経過日数の関係では、磁気処理水のTOCフラックスが少し大きく、磁気処理の効果があることが分かった。また、生物膜量もTOCフラックス同様に、磁気処理水の方が多くなっており、磁気処理水によるRBC処理効果については否定できないことが判明した。
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