道路交通騒音を制御する最も簡便な方法として、路肩に防音塀をたてる方法がある.この方法は古くから実行されており、現在においても有効な方法として利用されている.現在利用されている防音塀の表面は遮音性能を上げるために吸音性のものである.しかしその程度があまり大きくないので効果は期待されながらも設計には算入されないのが一般的である.同じ表面の音響的性質によるものであるが、表面が音響的に"ソフト"な場合に遮音性能が大きいことはあまり知られていない.この研究ではソフトな防音塀が実際どの程度の遮音性能を示すのかを理論的、実験的に研究することを目的としている. 平成4年度においては防音壁の表面を1/4波長音響管を配列することでソフトな条件にすることが出来るかについて研究したが、結果としてほぽ"ソフト"な条件に出来ることが、解析的および実験的に確認できた.純音でなく、騒音を対象として1/3オクターブバンドノイズを信号にしても、同様の結果が得られた.しかし実験的にはソフトな条件が完全でないことを示しており、次年度に課題を残した. 平成5年度は境界要素法を用いてこの音響管配列を表面にもつ二次元防音壁を反射性の地面上に建てた場合を解析した.その解析結果によれば1/4波長音響管を配列した表面は音響的に"ソフト"な条件を満たしており、表面が吸音性の防音塀よりも大きな遮音効果が得られることが明らかとなった.これを二次元無響室において実験的に検討した結果、解析結果と同様の結果を得た.しかしこの年度においてもソフト表面の完全性に関しては解決を見ていない. また道路交通騒音の周波数特性はある周波数にピークを持つことがわかっているので、設計周波数をそのピーク周波数に一致させることで、防音壁の遮音性能を吸音性のものに比べて3〜5dB大きくすることができることも明らかとなった.
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