研究概要 |
本研究は,3軸シェアシャドウ法による地下き裂形状計測技術をさらに発展させ,形状のみならず地下き裂の性状を明らかにする技術を開発しようとするもので,次の研究を実施した。1.横波透過特性を用いたき裂開口挙動の評価:(1)き裂面の接触剛性をき裂面の法線方向と接線方向の2種類のバネで表現した固ー液ー固3層モデルにより,き裂開口挙動の弾性波の透過特性に及ぼす影響を理論的に導出した。その結果,き裂の方向が既知の場合,透過率の変化を測定することにより,等価的なき裂面接触剛性を評価できることを明らかにした。(2)東北大学東八幡平フィールドにおいて,地下370mに作成された人工地下き裂を測定対象とし,人工音源と3軸弾性波検出器を用いて3本の坑井間で弾性波伝播実験を行った。その結果,透過縦波,横波の振幅,横波の偏波挙動と,加圧によるき裂の開口の関係に関するデータを取得した。2.透過縦波伝播時間による主き裂近傍のマイクロクラック開口挙動の評価:(1)上記フィールド実験において縦波伝播時間とき裂開口挙動の関係を求め,先に見出したき裂開口にともなう縦波伝播時間の増加現象を再確認した。さらに,き裂に沿って伝播する境界波の解析を行い,類似した伝播時間の増加現象があることを見出した。(2)境界波の伝播に関する内外の理論計算結果とフィールド実験結果を対比し,その現象がき裂面接触剛性の変化で説明できることを明らかにした。(3)坑井を加圧しながら音波検層を行ったデータの解析を行い、坑井に沿った縦波伝播速度は加圧によって変化しないことを見出した。(4)以上の結果に基づき,き裂面の等価的な接触剛性と主き裂近傍の弾性定数を評価する方法の検討を行った。
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