研究概要 |
爆発衝撃によって材料を一様圧縮させる従来タイプの材料合成装置とは異なり,衝撃波の収束効果によって材料中に極限状態を生成させる装置(極限材料合成装置)の開発を試み次の成果を得た。 (1)PETN爆薬(密度:0.5-1.0g/cc)表面を覆うように銅細線(径:100μm-175μm)を平行に多数設置し,これにキャパシターバンク(高電圧低容量)からの衝撃電流(1本当りMax.2kA以上)を流して一斉爆発させることで爆薬を面起爆させることが可能であり,そのための線間隔と薬厚との関係等の諸条件について実験的に把握した。この技術を応用して従来の爆薬レンズに替わる平面爆轟波発生装置を開発し,ダイヤモンド合成に適用できることを確認した。 (2)円筒状爆薬殻(外径:100mm,軸長132mm)の外表面周方向に設置した22本の細線を爆発させることで±170ns以内の時間精度を有する収束爆轟波が生成できた。細線条件は爆薬殻内部への爆轟波面の到達をストリーク写真で計測して評価した。次に爆薬殻(PETN,PETN/シリコンゴム)中心部にPMMA(アクリル)を設置し,その中を衝撃波が収束する挙動(シャドウグラフ)を計測した。その結果,衝撃波は中心付近まで真円性を保って収束しており,本装置を用いれば収束中心部に設置する固体または粉体を強力に圧縮して極限状態が生成できることが分かった。 (3)収束衝撃波の解析に適するランダムチョイス法(RCM)を初めて固体に適用し,各種材料における衝撃波の収束特性を明らかにした。また爆轟波の解析もできる気体・固体用一次元RCMコードを作成し,これを用いて実験による収束衝撃軌跡が良好にシミュレートできた。また極限状態生成後の試料を破壊させずに回収することは現状の装置では困難であることも明らかとなり今後の課題である。
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