研究課題/領域番号 |
04650619
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
金属製錬・金属化学
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
馬場 由成 佐賀大学, 科学技術共同開発センター, 助教授 (20039291)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
1992年度: 1,600千円 (直接経費: 1,600千円)
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キーワード | 蟹や海老の殻 / 天然多糖類 / キトサン誘導体 / ピリジルキトサン / チエニルキトサン / 貴金属イオン / 高選択性 / 吸着剤 |
研究概要 |
本研究の目的は、蟹や海老殻のバイオマス廃棄物に含まれるキチンから容易に得られるキトサンを原料とする安価で選択性の高い新規の吸着剤を合成し、これを用いて貴金属イオンの選択的分離を行い、これらの分離・精製プロセスの大幅な省エネルギーとコスト削減を実現すると共に、バイオマス廃棄物の有効利用を図ることである。本研究ではキトサンが分子内に反応性の高いアミノ基を有していることに着目し、このアミノ基を利用してキトサンの各種の化学修飾を行い、貴金属イオンの新しい高選択性の吸着剤の開発を行った。キトサンおよびその誘導体による金属イオンの吸着については多くの報告がなされているが、これらは酸・アルカリに不安定であり工業的な吸着剤としては利用できない。工業的な吸着剤として利用するためには架橋が必要であるが架橋すればキトサンの官能基である一級アミノ基が潰され、金属の吸着能を低下させる。そこで本報告ではキトサンにキレート形成能を有する官能基を導入する際にキトサンのアミノ基をシッフ塩基にし、アミノ基を保護した状態で架橋反応を行った。その結果、ここで提案した架橋法を利用すれば、酸、アルカリに安定な、しかも貴金属イオンに対して高選択性を有するキトサン誘導体が得られることが明らかとなった。すなわちこうして架橋された2種類キトサン誘導体であるビリジルキトサンおよびチエニルキトサンを用いて塩酸溶液からの貴金属イオンの吸着特性を調べた。その結果、両者とも鉄、銅、ニッケル、コバルト、カドミウムおよび亜鉛等のベースメタルはほとんど吸着せず、金、パラジウムおよび白金に対して高選択性を有する吸着剤であることが明らかとなった。さらに市販のキレート樹脂などと比較すると、2〜3倍の優れた吸着容量を有することが見い出され、本研究で提案したキトサン誘導体が貴金属イオンに対して優れた選択性を有する新しい工業的吸着剤として期待されることが明らかとなった。
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