研究概要 |
メカニカルアロイング(MA)法によりAl-Cu-Mg系及びAl-Cu-Mg-Mn系合金粉末を独自に作製し,焼結,熱間押出しにより固化成形し,その材料の超塑性特性を調査した. 1)MA材の超塑性伸びは結晶粒径の小さなものほど大きく,また最大伸びの発生するひずみ速度も速くなる. 2)MA時間はある程度長ければ結晶粒径に影響しないが,超塑性伸びに対してMA時間に最適値が存在する. 3)押出し温度が低いほど結晶粒径は微細なものが得られる.そして,得られた微細組織は,その後の熱履歴に対して極めて安定である. 4)得られた超塑性材の室温強度は600MPaと高く,ひずみ速度3.8/sという高速で320%という超塑性伸びを示した. 5)この高速超塑性変形のメカニズムを有限要素法により検討した. 次に熱間鍛造用のダイセットを製作し,加工速度の異なる油圧プレス(ひずみ速度:0.01/s)と機械プレス(ひずみ速度:10/s)により,据込みとスパイク鍛造をして,上記材料の鍛造性を評価した. 6)室温での据込み限界率は,加工速度によらず37%と低い.これを熱間(475℃)で加工すると,油圧プレスの場合は68%であるのに対し,機械プレスでは90%以上でも割れは発生しなかった. 7)機械プレスによるスパイク鍛造でのスパイク高さは,油圧の場合の3倍と非常に大きく,超塑性の発現による成形限界の向上は著しい. 以上より本材料は高強度で高速超塑性を示すことから,機械プレスによる実生産ラインに適用でき,実用材料として有望であることが確認できた.
|