研究概要 |
金属間化合物TiAlの板状(約15×10×1mm)の試料を次の7種類の雰囲気(O_2,80%N_2-20%O_2,50%N_2-50%O_2,CO_2,90%N_2-10%CO_2,95%N_2-5%CO_2,79%N_2-20%O_2-1%CO_2)で種々の時間高温酸化し、速度論的および組織学的検討を加え次の結果を得た。酸化温度は主に1200Kで、酸化時間は最長200ksまでである。速度論的試験には、酸化に伴う質量変化を連続的に測定できる熱天秤を用い、組織学的調査にはX線回折、走査電子顕微鏡、エネルギー分散分析、光電子分光法を用いた。 純酸素および窒素を含む酸素中での酸化試験の結果、窒素はTiAlの高温酸化挙動に影響を及ぼさないことが明かとなった。酸化曲線はいずれの雰囲気でもほぼ同じであり、スケールの構造的な特徴も同様であった。スケールは比較的薄い外側のルチル層(外層)と内側のルチルとアルミナの混合した層(内層)から成っており、外層と内層の界面近傍に比較的大きな気孔が断続的に存在する。その界面近傍ではアルミナは濃化しているが、連続層を形成するほどではない。また、予想される窒化物は検出されなかった。一方、炭酸ガスおよび5%以上の炭酸ガスを含む雰囲気では、純酸素中と比較して、酸化は加速され、酸化増量は炭酸ガス濃度が高くなるほど大きくなる。この場合、形成されるルチル層の外表面にはさらに半球状のルチルが点在し、独特な形態となった。さらに、ルチル層の下に形成されるルチルとアルミナの混合した層は非常に細かい気孔を多数含んでいる。これらの点を除けば、いずれの雰囲気においても、形成されるスケールの構造は基本的には同じであるが、その成長速度が変化する。また、炭化物の形成は確認できなっかた。さらに、1%炭酸ガスを含む雰囲気中では、酸化挙動は純酸素中と同様であった。
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