本年度において行った研究は以下のようである。 1.種々のAl-Y-Ni合金をY量(Y+Ni=30at%)を変化させて溶製し、各組成のアモルファス化条件を冷却速度および溶湯温度条件を変化させて系統的に調べた。本研究では単ロール急冷凝固法で作製する急冷リボンの全域がアモルファス化する条件について検討した。 2.前項の結果よりアモルファスリボンに圧縮・焼鈍および押出し処理を行って棒状試料とし、これより引張試験片を切り出した。試験に先立ち、これらのプロセスでの組織変化を電子顕微鏡で観察した結果、急冷による組織の微細化が極めて有効であることが明かとなった。但し、この段階ですでにアモルファス状態から結晶化への変態が完了していることが判明した。 3.各試料の引張試験片を用い、室温から673Kまでのいくつかの温度で、また歪速度を広範囲に変化させて試験した。その結果、従前から報告されていた超塑性発現条件より低温高歪速度での発現が可能であることが明かとなった。 4.現在以上の結果をもとに、本材料を超塑性化するための組織制御条件を検討し、実際的な低温超塑性材料開発の基本要件の提案のための整理を終了している。
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