研究概要 |
溶融金属によるセラミックス(ダイヤモンド)の濡れ性とセラミックス(ダイヤモンド)表面の原子レベルでの観察との相関性について検討を行ない以下の知見が得られた。 1)溶融純金属(Bi,Pb,Sn,Ag,Au)によるダイヤモンドの濡れ性はダイヤモンド基板の結晶方位に依存する。 2)濡れ性の結晶方位依存性は高温になるほど顕著である。 3)原子間力顕微鏡による相互作用力の大きさはダイヤモンド基板の結晶方位に依存し,その傾向は溶融金属のうち,低温で測定したBi,Pbの濡れ性の傾向と良い一致を示した。 4)溶融Snによるダイヤモンドの濡れ性を広い温度範囲で測定した結果,非常に特異な濡れ挙動が観察されたが,これはダイヤモンド基板の表面構造の変化に対応することが明らかになった。 5)溶融Auによるダイヤモンドの濡れ性も,初期に90°以下の低い接触角が数十秒後には急激に増大し,120°以上に到達するが,これは高温におけるダイヤモンド表面の黒鉛化による特異な濡れ挙動であることが明らかになった。 6)低温で表面にダングリングボンドがターミネイトされた状態での濡れ性は室温での原子レベルでの表面観察の結果と良い一致がみられたことから,その相関性は非常に高いことが明らかになったことから濡れ性を検討することにより,固体表面に関する重要な情報が得られることが分かった。
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