研究概要 |
ペルオキシモノ硫酸イオン(HSO_5^-)はある種の遷移金属イオンM^<n+>により接触的に分解し、高エネルギー状態の化学種(一重項酸素、活性な酸化性化学種OH,SO_4^-,M^<n+1>など)を生成すると考えられる。本研究では、これら高エネルギー活性種の関与する新規化学発光(CL)反応について検討を加え、新規フローCL計測法の開発を目的とする。以下に2年間の研究成果について記す。 1.21種類の遷移金属についてHSO_5^-と反応させてスクリーニングを行ったところ、Co^<2+>、Fe^<2+>、VO^<2+>によりCLが放出されることを見い出した。このCLについて詳細に化学計測的検討を加え、これらの金属イオンの高感度フローCL計測法を確立し、実試料へ応用した。 2.上記CLには一重項酸素が関与していることを確認した。 3.上記3種の金属イオンとHSO_5^-により生成する活性種を各種有機化合物と反応させたところ、HSO_5^-/Co^<2+>系で蛍光性有機化合物が強いCLを与えることが判明した。蛍光性有機化合物の新規フローCL計測への利用の可能性が示唆された。 4.フロー計測システムを組み、各種蛍光性有機化合物についてCL応答を調べたところ、10^<-6>〜10^<-8>Mレベルの多核芳香族化合物、色素化合物、ダンシル化アミノ酸誘導体が検出できることがわかった。 5.HSO_5^-/Co^<2+>系で生成する活性種は寿命が長い(30分以上)ので、CL計測以外のその他の化学計測への利用も考えられ、活性種の同定・確認が望まれる。また、これによりさらに蛍光性有機化合物のCL検出の高感度化が図れるものと考えられる。 6.蛍光性有機化合物のCL検出法を高速液体クロマトグラフィーにおけるポストカラム検出として利用するため、CL応答に及ぼす移動相の影響について現在検討中である。
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