研究概要 |
本研究では、水溶液中からの金属、金属酸化物、金属硫化物等の微粒子の析出反応についてその生成機構を明らかにすることを目的とした。より具体的には、原理的な考察を基礎としながら、種々の濃度の金属塩水溶液のpHや温度、添加物の種類とその添加量の効果を詳細に検討し、生成の機構を正確に把握し、さらにはその応用として、工業生産性の見地から、高い濃度の金属塩水溶液を出発として、金属、金属酸化物あるいは金属硫化物を合成する一般的な方法を開発する研究を行なった。 主として高濃度の金属塩溶液からの金属、金属酸化物、金属硫化物微粒子生成の作用機構を明らかにする研究をおこなうために、次のような手順で研究を実施した。 1.まず、種々の金属塩水溶液を調製し、従来の方法の基づいて、酸化物微粒子を作成する際の金属イオンの挙動や核生成・成長の過程を追求した。Fe,Alの金属塩(塩化物、硝酸塩、硫酸塩、酢酸塩等)を出発物質として用いて、それらの酸化物微粒子の生成過程を詳細に検討した。 2.次にFe,Alの濃厚金属塩溶液を出発物質として単分散酸化物微粒子の合成研究を精力的に行ない、pH、濃度、添加物、温度などの最適条件を確立し、論文発表した。また、生成した微粒子に種々の処理を施してから、電子線回折装置を付属している透過電子顕微鏡やX線回折装置を用いて結晶性観察を行い、酸化物微粒子の構造解析を行なった。なお、微粒子の処理は、電気炉(マッフル炉)を用いて、600℃〜1000℃の範囲で行い、最適結晶化温度を求めた。 3.以上の生成微粒子のキャラクタリゼーションとin-situ反応機構解析の結果をまとめ、水溶液中から析出する金属、金属酸化物、金属硫化物微粒子の生成機構を考察し、論文等に報告した。
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