研究概要 |
メタンとエタンの酸化的交差2量化について希土類酸化物を触媒成分として用い,固定床流通反応系により検討した。 反応は反応性の低いメタンを過剰に用いて,メタン/エタン/酸素=45:7.5:4.5の割合の混合ガスをヘリウムで希釈して800-1000Kの温度範囲で行なった。用いた14種類の希土類酸化物のなかでは,La_2O_3,Sm_23_3,Eu_2O_3等が酸化的交差2量かに活性を示した。 Eu_2O_3が最大で4.5%の収率でプロパンおよびプロペンを生成した。次いでSm_2O_3,La_2O_3の順に活性は低下した。副反応としてはエタンの脱水素によるエチレンの生成とエタンの完全酸化によるCO,CO_2の生成であった。エタンの脱水素は酸化的2量化の活性の高いSm,Eu触媒で著しく起こり,完全酸化は希土類全てで起こり,希土類間で差異は認められなかった。 反応の諸条件を詳細に検討した。反応温度について検討したところSm,Euの酸化物では,900K付近で交差2量化によるプロパンおよびプロペンの生成量は最大となったが,La_2O_3触媒ではより高温で高い収率が得られた。トルエンとメタンの交差2量化において,触媒効果を向上させたアルカリ金属の臭化物を添加したが,促進効果はトルエンとメタンの反応の場合のように顕著な効果は認められなかった。メタンとエタンの供給比をさらに高く18:1として反応を行なうと,プロパンおよびプロペンの収率は7。7%までに向上した。 メタン,エタンの光化学的酸化についても検討し,MoO_3-SiO_2触媒系を用いて,触媒層を420-470Kに加熱すると,高選択的にホルムアルデヒドが生成することを見いだした。またこのとき,触媒層に効果的に光を照射するため触媒層を反応ガスにより流動化させることが,光の利用効率を高め,生成物の収率を向上させることを明かにした。
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