研究概要 |
2種の非対称モノマー,XabX,YcdYの分子設計を行うためには,それぞれのモノマーの官能基間の反応性に関する基礎的データが必要である.これらの知見を得るために,活性化剤としてジフェニル(2,3-ジヒドロ-2-チオキソ-3-ベンゾオキサゾリル)ホスフォナート(I)を用いて,各種非対称ジカルボン酸とジアミン類の反応によるアミド合成について検討を行った.その結果,非対称ジカルボン酸成分(XabX)として,2,2-ジメチルグルタル酸無水物(II)が適当であり,pKa値が5以下の芳香族ジアミン成分は選択的に立体障害のない4位のカルボニルと反応し開環生成物を与え,更にその開環生成物のアミド酸は(I)により活性化され,アミンと反応しジアミド体が定量的に得られることが分かった.次に,(II)と芳香族ジアミン類との競争反応について検討を行った.2種類の芳香族ジアミンのpKa値の差が2程異なると,pKa値の大きなアミンが優先的に(I)の4位のカルボニルと反応して開環生成物を与えることを見出した.非対称ジアミン成分(YcdY)は2種類の対称ジアミン(YccY,YddY)に置き換えることができる.そこで上記の知見を基に2種類の対称ジアミン成分として4,4'-オキシビスアニリン(III)(pKa-5.3)と3,3'-ジアミノベンゾフェノン(IV)(pKa=3.5)を選択した.定序性ポリアミドの構造の同定のために各種モデル化合物を合成した.更に(III)と2倍モルの(II)の反応によりジカルボン酸成分を合成し,このジカルボン酸と(IV)の重合により基準ポリアミドを合成した.直接重縮合法による定序性ポリアミドは(II)の極性溶媒中に(I),(III)と(IV)を一度に加え行った.得られたポリアミドと基準ポリアミドの^<13>C-NMRによる構造解析の結果,直接重縮合法で得られたポリアミドは大部分,期待した定序性ポリアミド構造を有しているが他にランダム構造も含まれていることが分かった.現在100%の定序性を目指して重合条件の検討を行っている.なお,分子量測定は今回購入したGPC(RI)を用いて行った.
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