研究概要 |
パーベーパレーション操作は蒸留に代わる省エネルギー型の液体分離操作として,脱水操作への応用から実用化されつつある。その分離機構については溶解拡散説が主流となっている。本研究では実用の膜にも使用されているポリビニルアルコール膜およびセルロース系の親水性高分子膜によるエタノール水溶液の脱水用パーベーパレーション操作について,「膨潤層ー緻密層説」にもとずいて以下の点について定量的な検討をを試みた。 1.着色法により膜内膨潤層比率の濃度範囲による変化および供給側・透過側操作圧力の影響,温度の影響を調べて,以降のモデル作成の基礎とする。 2.膜の液に対する収着挙動の測定。 3.膨潤層(ゲル)の液としての浸透挙動の測定。 4.エタノール水蒸気混合気体の透過実験により各成分透過係数を測定し,解析の基礎とする。 5.以上の測定から「膨潤層ー緻密層モデル」を作成した。パーベーパレーション実験における操作条件(濃度範囲、上流圧・下流圧)の影響を比較することによりモデルの適用性を明かにした これにより親水性膜のパーベーパレーション分離操作の操作条件の影響が定量的に予測可能となり,さらには膜そのものの設計指針が得られるものと考える。以上の研究結果は「第29回高分子と水に関する討論会」(高分子学会,1991)にて講演発表され,J.Chem.Eng,Japan誌に投稿中である。
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