1.次の方法によるマイクロカプセル化過程を確立し実験を行った。すなわち、固体芯物質としてガラスビーズを用い、ゼラチン水溶液に懸濁させたものをアラビアゴム水溶液と混合する。次に液温ないしはpHを変えて芯物質周りにゼラチンとアラビアゴムからなるコアセルベート相を析出させて皮膜を形成した後、ホルマリンで皮膜を硬化させる。これによって、一次乳化を省略し、一次乳化の二次乳化への影響を排除した。生成したマイクロカプセルについて平均膜厚、粒径分布、芯物質上へのカプセルの生成状態を測定、観察した。 2.pH変化の為に系に加えた酢酸の添加量が生成カプセルの平均膜厚と粒径分布に及ぼす影響を測定した。その結果、高効率の安定したカプセルを得るためには、酢酸添加量に最適値が存在することを確認し、最適値の出現理由を生成機構面から解明した。 3.カプセル生成過程の冷却速度、撹拌強度、芯物質の添加時期が生成カプセル膜厚に及ぼす影響を測定し、カプセル生成機構とこれらの各条件の関係について検討した。その結果、カプセル膜の形成はコアセルベート相の出現点より、より冷却の進んだコアセルベートのゲル化温度付近で急速に進行し、従ってゲル化温度付近での撹拌強度、冷却速度が大きく効率に影響すること、またゲル化温度以上であれば芯物質の添加時期は結果に影響を及ぼさないことが判明した。 4.芯物質表面をジメチルジクロロシランにより疎水化処理した場合、カプセル膜厚は増加し、効率の上昇が確認された。また、無機塩類の系への添加によって、カプセル膜厚は減少するが、少量の添加によっては逆に増加し、高い効率が得られることが発見された。
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