研究課題/領域番号 |
04650874
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
発酵工学
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
草出 広司 東京農工大学, 工学部, 助教授 (10187883)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
1992年度: 2,100千円 (直接経費: 2,100千円)
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キーワード | marine cyanobacteria / recombinant / continuous culture / plasmid stability / foreign gene expression |
研究概要 |
本研究は組み換え海洋ラン藻の培養工学を推進するための基盤を整えることを目的として、回分および連続培養系におけるベクタープラスミドの安定性ならびに外来遺伝子の発現について検討を行った。まず、単細胞性の海洋ラン藻Synechococcus sp.、および広宿主域ベクターpKT230を用いて、海洋ラン藻内でのベクタープラスミドの安定性について検討した。この組み換え海洋ラン藻の作製には申請者らが独自にその条件等を最適化し開発した接合伝達法を用いた。回分培養において、プラスミドの選択圧がない場合には、培養開始後約50時間後の対数増殖期においてプラスミド保持率の低下がみられ、培養終了時(120時間後)にはプラスミド保持率は約55%で一定となった。これに対して、選択圧として抗生物質(カナマイシン)が存在する場合、対数増殖期においてプラスミド保持率の低下は見られず、培養終了時においても保持率は90%以上であった。以上のように、選択圧存在下ではこのベクタープラスミドはきわめて安定であり、外来遺伝子発現用に適していることが明かとなった。次に外来遺伝子として酵素クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)の海洋ラン藻内での発現を試みた。その結果、回分培養では対数増殖期後期においてもっとも高い発現がみられ、本海洋ラン藻ならびに広宿主域ベクターを用いて外来遺伝子の発現に成功した。海洋ラン藻は比増殖速度がきわめて低いことから、本研究では連続培養方法として一定時間ごとに培地の一部を交換する疑似連続培養法により組み換え海洋ラン藻の特性を検討した。その結果600時間以上の長期にわたり連続培養においてもプラスミドが安定に保持され、また外来遺伝子としてのCATの発現が安定にみられた。しかし、問題点として以下のようなことが明かとなった。すなわち、CATの細胞蛋白質あたりの発現量は海洋ラン藻においては大腸菌に比較して約1/10と低いことがあきらかとなった。これは今回用いたプロモータに原因があると考察され、海洋ラン藻内での高遺伝子発現のためのプロモーター検索が急務であることが示唆された。以上のように本研究では組み換え海洋ラン藻の培養工学推進のための基礎知識が得られ、また今後対処しなければならない問題点も明かとなり、当初の目的は充分に達成されたものと確信する。
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