研究概要 |
1.酵母,大腸菌,動物培養細胞を含む種々の生物のDNA修復酵素遺伝子の保存性の高い配列領域から作製したセンスおよびアンチセンスプライマーを用いたPCR法,ならびにサブトラクション法を適用し,5種類の"enriched"cDNAライブラリーを作製した.各種生物DNA修復酵素遺伝子の別の保存性の高い領域から作製したオリゴプローブを用いたハイブリダイゼーションによりポジティブクローンをスクリーニングした.得られたポジティブクローンを用いて修復能欠損の大腸菌,インフルエンザ菌,および酵母を形質転換し,相補性をもとにDNA修復能を相補する遺伝子を含むクローンの調査を行った.修復能欠損株の相補が認められたのは,大腸菌の場合のみであった.修復能欠損大腸菌を相補したポジティブクローンのDNA断片をサブクローニングし制限酵素地図を作製し塩基配列を決定し,アミノ酸配列を推定した.配列既知の他の生物のDNA修復酵素遺伝子およびその遺伝子産物とのアミノ酸配列を比較した. 2.通常の"direct"cDNAライブラリー,2種類の"amplified"cDNAライブラリー,および2種類の"subtracted"cDNAライブラリーのうち,もっとも効率的にポジティブクローンが得られたのは"double amplified"cDNAライブラリーで,"direct"cDNAライブラリーの約50倍の効率であった. 3.大腸菌のO^6mGアルキルトランスフェラーゼ遺伝子,3mAグリコシラーゼ遺伝子,umuDC遺伝子,およびuvrB遺伝子のホモローグをクローニングし,その一部の塩基配列を決定し,それらのアミノ酸配列を推定することができた.
|