研究概要 |
課題1の『同質遺伝子系統利用および連鎖分析によるイネ白葉枯病抵抗性遺伝子近傍のマーカー探索』においては,同質遺伝子系統を利用し,本病抵抗性遺伝子Xa-1に0,1.7cMで連鎖する2つのRAPDマーカーを見いだした.そのうち1つのDNA断片はXa-1の供与親である黄玉に特異的であり染色体歩行による同遺伝子のクローニングの開始点として有望であることを確かめた.Xa-3,Xa-4,xa-5,Xa-10については,同質遺伝子系統の利用あるいは連鎖分析により,3cM以上と推定されるが近接するRFLPあるいはRAPDマーカーを見いだした.次に,xa-5,Xa-7,Xa-11の3遺伝子を対象とし分析を進めた結果,xa-5では320種類の,Xa-7とXa-11では500種類のプライマーを用いて,近傍マーカーの探索を行った結果,xp-5には8.9%で、Xa-11には1.1%で連鎖するRAPDマーカーを見いだした. さらにこれらの分子マーカーを利用して,抵抗性遺伝子の集積を行い,現在までに,Xa-4+xa-5,Xa-4+Xa-10,Xa-1+Xa-4,Xa-1+Xa-10の4系統を育成した. 課題2の『量的抵抗性を示す日本型品種「あそみのり」の遺伝解析』おいては,「あそみのり」とインド型感受性品種「IR24」との交配から単粒系統法で育成してきたF_6を84系統(1個体/系統)用いて,RFLP分析を行い,114のRFLP遺伝子座からなるRFLP地図を作成した.一方,同F_6個体に日本産同菌レース1と3を接種し,病斑長を測定するとともに,RFLP分析結果に基づき抵抗性関与領域を推定した.その結果,両菌系いずれにも染色体4のXa-1領域が大きく関与することが明らかとなり,さらに,レース3に対してはXa-1領域以外に作用力の弱い遺伝子領域が3箇所推定された.
|