研究概要 |
予備冷蔵(以下予冷)と冷蔵期間並びにGA処理が促成シャクヤクの花芽の発育と開花に及ぼす影響について調査した。 [花芽の発育] 野生タイプシャクヤクの花芽の発育について,6月下旬から12月中旬まで10日ごとに調査した。調査開始時の6月20日から9月下旬までは葉数の増加のみ認められた。10月中旬には花弁が,11月中旬には雄しべが,また下旬には雌しべの分化がそれぞれ観察された。‘サラ・ベルナール'の冷蔵(4℃)開始時(10月上旬)における花芽の状態については,数枚の花弁が観察され,‘サラ・ベルナール'の花芽分化は野生タイプよりやや早い傾向を示した。15℃で予冷されたシャクヤクは花芽の発育が促進された。30日〜70日冷蔵中における花芽の発育については,冷蔵期間が長くなるほど花芽の長さは長くなる傾向を示したが,花芽の直径や花弁数については一定の傾向を示さなかった。 [促成] 植え付け日が早いほど発芽日や開花日は早くなった。植え付けから開花までの到花日数は冷蔵期間が長くなるほど短縮された。発芽から開花までの積算温度は,冷蔵期間の長短にかかわらずほぼ一定であった。一年生株において,開花率は30日冷蔵が67%で最も高かったが,実用限界の80%には及ばなかった。冷蔵期間の長短による切り花形質の差は少なかった。予冷により開花期が促進した。予冷とGA処理の組み合わせにより,開花率は向上し,切り花品質も優れた。GA処理は出芽直後の1回処理が開花率向上に最も効果的であった。GA処理により,切り花の花色は薄くなる傾向があった。
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