研究概要 |
1.緑化樹の葉の気孔分布について 瀬戸内地域で多用されている緑化樹22種を対象にスンプ法により気孔分布の測定を行った結果,22種全てが裏面のみに気孔のある裏面気孔植物であることが確認された。また,土壌水分条件の違いが気孔分布に現れる樹種(ユリノキ,ケヤキ)と現れない樹種(シャリンバイ,トベラ)がみられた。はっきり確認できなかった樹種もあるが,この研究をさらに進めることによって,乾燥に対する樹種特性を明らかにできるものと考える。 2.ユリノキの光合成・蒸散特性について 香川大学農学部,公渕森林公園および丸亀駅前広場に植栽されているユリノキを対象に2年間にわたって光合成・蒸散速度の測定を行った。ユリノキの成熟葉の5〜9月における飽和光合成速度は約15μmolCO_2・m^<-2>・s^<-1>であったが,夏期の乾燥時には著しく低下することが認められた。丸亀調査木は地下駐車場の上の人工地盤に植栽されたものであり,また,周囲が全面的に舗装されているため,乾燥条件になりがちであり,光合成速度の低下が頻繁に認められた。人工地盤における植栽管理上の問題点として指摘される。 3.クスノキの光合成・蒸散特性について 香川大学農学部,栗林公園および坂出緩衝緑地に植栽されているクスノキを対象に3年間にわたって光合成・蒸散速度の測定を行った。クスノキの健全な成熟葉の6〜9月の光合成速度は12〜16μmolCO_2・m^<-2>・s^<-1>を示し,12〜2月でも夏期の1/3〜1/2の光合成能力を示すことが確認された。現地調査およびポット実験の結果から,土壌水分条件は光合成・蒸散に大きく影響することが認められた。平成6年度も継続して研究を行う計画である。4.その他,ケヤキ,ソメイヨシノ,ヘデラ(カナリエンシスおよびヘリックス)等について,1年間にわたり光合成・蒸散速度の測定を行った。
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