研究概要 |
喜界島および南大東島の離水年代を異にする、一連の隆起サンゴ礁段丘上に分布する土壌を対象として、サンゴ石灰岩からの土壌発達過程を明らかにするとともに、既往のサンゴ礁形成年代測定値・平均隆起速度直線ならびに海面変動曲線を利用して、これらの土壌の生成速度を推定した。また各発達段階の土壌を国際的土壌分類システムと対比した。 1.離水後約1,500年間は岩石地(Rockland)の状態が続く。 2.約3,000年で固結岩屑土(Lithosols)ができはじめる。 3.3,500〜3,900年でAh/R断面を示す初生レンジナ様土(Rendzic Leptosols、Lithic Rendolls)が生成する。 4.8,000〜35,000年の生成期間の土壌は、縄文海進期の海面上昇によて侵食され失われてしまったものと推定される。 5.3.5〜4万年の生成期間の土壌は、Ah/C/R断面を示すレンジナ様土(Rendzic Leptosols,Lithic Rendolls)となっている。 6.5〜5.5万年の生成期間の土壌は、Ah/Bw/C断面を示す褐色レンジナ様土(Mollic Leptosols,Eutropeptic Rendolls)となっている。 7.7〜8万年経過すると、A/Bt/C断面を示すテラフスカ様土(Haplic Luvisols,Typic Hapludalfs)が生成する。 8.9.5〜10万年経過すると、赤色化作用が進んでテラロッサ様土(Haplic Lixisols,Typic Hapludalfs)が生成する。 9.12〜12.5万年経過すると、交換性陽イオンの溶脱がかなり進行しテラロッサ様土と赤黄色土の中間的な土壌(Haplic Lixisols,Typic Hapludalfs)が生成する。 10.南大東島の幕上に分布する土壌は、カオリナイトを主とし、喜界島の最高位面の土壌より古いと思われる。よって赤黄色土が生成するには,少なくとも12.5万年以上の年月が必要と推定される。
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