研究課題/領域番号 |
04660121
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研究種目 |
一般研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
研究分野 |
応用微生物学・発酵学
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
上領 達之 広島大学, 総合科学部, 教授 (50025649)
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研究期間 (年度) |
1992
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研究課題ステータス |
完了 (1992年度)
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配分額 *注記 |
1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
1992年度: 1,900千円 (直接経費: 1,900千円)
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キーワード | 非特異的脂質輸送蛋白質 / 長鎖アシル-CoA酸化酵素 / ペルオキシソーム / 酸素ストレス / 分子シャペロン |
研究概要 |
本研究の目的は、我々が炭化水素資化性酵母 Candida tropicalisに見出した非特異的脂質移送蛋白質(PXP‐18)がペルオキシソームで働く分子シャペロンである可能性を追求し、その生理的な役割を明らかにすることである。これは、ペルオキシソーム蛋白質の輸送機構を理解してこのオルガネラを有用な蛋白質の安定な生産系として利用しようとする究極的な目標への一過程である。 従来は単離ペルオキシソームから調製していたPXP‐18を基質量で取り扱うために、凍結細胞の全破砕液から直接精製する方法を開発した。酵母のアシル‐CoA酸化酵素(ACo)をその活性が約10%にまで低下する条件下で酸(pH4.9)または熱(65℃)処理する際に適量のPXP‐18を共存させると、酸化酵素の失活が抑制され40〜70%の活性が保持された。この効果はPXP‐18に特異的であって、この蛋白質と物理化学的性質の類似したリゾチームや血液中で脂質を運搬するアルブミンでは代替されない。また濃度依存的でもあり、8量体で存在する酸化酵素のサブユニットあたりモル比で50〜100倍量のPXP‐18が存在し、且つ系全体のタンパク質濃度が高いこと(ACOサブユニットが0.5μM前後)を必要とする。類似の効果が尿酸酸化酵素に対しても観察されたので、PXP‐18の失活抑制効果は基質を介してではなく、酵素蛋白質に対して発揮されるものと推定される。実際、PXP‐18がACOと相互作用していることは、非変性条件下での電気泳動またはショ糖密度勾配遠心で分画されたACO画分をPXP‐18に対する抗体でウエスタン解析することによって示された。PXP‐18の遺伝子を破壊された酵母細胞は、ペルオキシソーム形成に必須なPAS1遺伝子の破壊株と同様、活性酸素増産剤であるプラムバギンに対する感受性が高まることが見出され、PXP‐18が酸や熱の他に酸素ストレスに対する保護機能をもつことが示唆された。
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