研究概要 |
活性酵素スーパーオキサイドアニオンはマクロファージによって多量に生産される。また,炎症とも関係が深いことが知られている。種々の構造を有するalkylpolyphenolの配糖体を合成し,マクロファージによる活性酵素産生に及ぼす影響を調べた。また抗炎症作用と比較検討した。炭素数2から18までのalkyl基をcatechol骨格に導入したalkylcatechol xylose配糖体,およびoctylresorcinol,octylhydroquinone,octylphenolのxylose配糖体を合成した。配糖体化は,この合成のキーステップであるが,種々の反応を試み,50%以上の収率で行える反応を見出した。マウスの腹腔マクロファージを用い,活性酸素の産生に及ぼす合成化合物の効果を調べたところ,alkylcatechol xylose配糖体ではoctylの場合マクロファージの活性酸素産生を50μg/mlで完全に抑制した。またoctylhydroquinone,octylphenolのxylose配糖体も同様強い活性を示した。マウスの耳テストを用いて,合成化合物の炎症抑制作用を調べたところ炎症抑制効果は,octylcatechol xylose配糖体,octylhydroquinone xylose配糖体,octylphenol xylose配糖体で強かった。活性酸素の産生抑制作用,炎症抑制作用ともにその発現には糖部分の存在とalkyl基の長さが重要であった。つぎにラジカルとの反応性を抗酸化試験を用いて調べた。decylcatechol xylose配糖体は10ppmでリノール酸の自動酸化を顕著に抑制し,強いラジカルスカベンジャー作用を有すると考えられる。このためalkylcatechol xylose配糖体は活性酸素と直接に反応している可能性が出てきた。
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