研究概要 |
1.RGD(Arg-Gly-Asp)配列を有するペプチドで,固相法で種々合成した.得られた化合物は高速液体クロマトグラフィーを用いて精製し,凍結乾燥機により結晶化した.血小板活性化剤としてADPを用い,それらのヒト血小板に対する阻害活性を測定した.RGDのC-末端側にさまざまな疎水性アミノ酸を付加して,その疎水性と活性との関係を検討した.その結果,C-末端アミノ酸が芳香環を有する場合,オリゴペプチドの1-オクタノール/水系の分配係数の対数log Pから本研究代表者が評価し,提出したアミノ酸側鎖の疎水性パラメータ,π_αと活性との間に正の相関関係の存在することが明かとなった.しかし,この情報に基づいて疎水性の高い脂肪族アミノ酸側鎖をC-末端に導入したところ,活性は低くなった.このことから,C-末端アミノ酸側鎖の疎水性と活性値は1対1に対応するのではなく,C末端側鎖の立体効果も活性に影響していることが示唆された. 2.Arg残基のグアニジノ基に相当する部分をさまざまな塩基性官能基に変換したペプチド様化合物のモデル化合物と,受容体に存在すると思われるカルボキシル基を含むモデル化合物との間の相互作用エネルギーを分子軌道法を用いて計算したところ,このエネルギーは活性値とほぼ1対1に対応することがわかった.これは,このような静電相互作用が活性にとって重要であることを示している.
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