研究概要 |
研究実施計画にしたがって行なわれた調査結果をまとめると次のとおりである。1956年に皆伐され,その後更新したブナ二次林について1967年試験地-1,-2(各0.1ha)を設定し,1981,1986と今回の4回調査した。ha当り本数は試-1,試-2の順で9,120本,7,080本(1981)を最大とし,今回は6,150本,5,330本と減少した。ha当たり材積はそれぞれ179,221m^3であって,年平均成長量は4.6m^3,4.9m^3,年平均成長率は2.6%,2.2%であった。樹種別構成比でブナは本数比,林積比の順で1967年75%,78%が,今回80%,80%と増加した。ha当り本数が減少するなかで,ブナの構成比が高くなる傾向を示している。 1973年若干の母樹を残して伐採されたブナ天然林に,天然更新補助作業として地表掻起しを行ない,1979年に設定されたブナ天然更新試験地の調査結果を次に示す。試-1はブルドーザによりチシマザサ等地表植生が除かれた箇所,試-2,試-3はササ等地表植生と地下茎を含む表土が除去された箇所,誠-4は窪地に表土等を寄せ集め,盛土状にした箇所,試-5は1971年〜1976年まで地表植生の刈払を行った箇所である。1992年ササのm^2当り本数は試-1〜-5の順で64,24,30,88,81本であり,ブナの本数は1,19,20,4,0本であった。 ブナとササのm^2当り本数の相関は1984年γ=-0.9195で有意となり,以後有意な相関がつづき,1992年もγ=-0.9136と5%水準で有意であった。またm^2当りササの稈長の総合計とブナの樹高の総合計の相関は1985年γ=-0.9096と有意であり,以後有意な相関がつづき,1992年γ=-0.8784と5%水準で有意であった。このことは地表掻起も後ササの発生本数の多い箇所はブナの発生本数が少ないことを示し,同様ササの稈長の総合計の大きい個所はブナの樹高の総合計は小さいことを示している。ちなみにブナの最大樹高は370cmであった。
|