研究概要 |
シガテラの原因となる有毒底性渦鞭毛藻の分布と生理産態学的特性との関係を明らかにするために以下の研究を実施した。 平成4年4月に沖縄県座間未群阿嘉島において大型海藻に付着した渦鞭毛藻の採集を行い分布密度を調ベるとともに培養株を作成した。採集した渦鞭毛藻を走査型電子顕微鏡を用いて詳細に観察した結果,Prorocentrum属中に未記載種が存在することが判明したため,これを新種として記載することとし投稿準備を進めている。 昨年度には付着性藻類の生体内クロロフィル蛍光を測定することにより成長をモニターするための積分球蛍光光度計を開発したが,この装置は安定度が十分でないことが分ったため新たに市販の蛍光光度計(ターナーデザイン10型)を改造して積分球蛍光光度計を製作した。これを用いシガテラ原因渦鞭毛藻の成長速度と環境要素との関係や原因渦鞭毛藻と海藻との相互関係を明らかにするための培養実験を行った。この結果,海藻エツキシマオウギおよびフタエオウギの浸出液はProrocentrum属の渦便毛藻の増殖を著しく促進するがラッパモクではほとんど影響が無いことなどが明かとなった。一般に,シガテラ原因渦鞭毛藻の成長速度は無機培地中では低く,天然海域での海藻表面への広汎な付着は海藻表面から浸出する増殖促進物質を利用する事によって高い成長速度を得ることによっているものと考えられる。
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