研究概要 |
山形県庄内平野のような水稲単作地帯では,果樹を新植することになると、水田の一部を畑地に転換して植え付けることが多い。果樹は同一場所に長年月栽培されるので,水田跡地の利用にあたっては長期的な展望に立って,定植前に,まず,果樹園としてふさわしい土地基盤に整備をする必要がある。したがって,水田跡地における転換樹園地の造成,土地改良事業及び畑地灌漑などの計画樹立への必要な基礎資料を得る目的で,水田跡地の樹園地(ナシ・ブドウ・オウトウ・カキ)において,落葉果樹の根群分布,土壌水分張力,地下水位及び土壌水分収支などの実態調査を行った。更に,落葉果樹の幹内流量(蒸散量)を明らかにするために,茎熱収支法を落葉果樹に適用して,幹内流量の測定を行った。その結果,次のことが明らかとなった。 1.西洋ナシ樹園地を造成する際には,西洋ナシ樹に土壌水分変動のストレスを与えないように,灌水施設を設置して畑地灌漑を行う必要がある。 2.ブドウ樹,カキ樹及びナシ樹のような深根性の果樹を定植する場合には,定植前に,樹園地としてふさわしい土地基盤(地下水位の低下,土層改良など)に整備をしておく必要がある。 3.ナシ,ブドウ,オウトウ及びカキの各樹園地では,いずれも日中蒸散により,土壌水分張力値は顕著に増大し,夜間に漸減する通日変動を示した。 4.カキ樹園地の深度100cm以浅の土層における保水量の実測値と推定値の適合性は雨天日を除くと,比較的良好であった。
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