研究概要 |
急傾斜地水田の圃場整備で形成される畦畔法面は,広大なものが多く,そこでの除草作業の遂行に支障を生じている。本研究では,畦畔法面の形状や除草作業の実態を検討し、除草作業の安全性と効率のための小段を設置した畦畔法面の必要性を示し,その形状・配置を提案した。また除草作業を軽減する圃場整備計画をたて,その条件を明らかにした。 その結果は以下のとおりである。 (1)畦畔法面の除草が苦痛を伴うため,農家は各種の労働軽減策を講じているが,それでも除草を行わない農家も出現していること。 (2)畦畔法面では,除草方式や除草個所によって身体的負担が異なる。法先部では労働強度の大きい刈上げ方式が選択されるため,身体的負担は大きい。負担の大きい法先部や法面での負担軽減対策が求められている,ことを示した。 (3)急傾斜地での安全対策は遅れがちであるが、農家による法面上への足場の設置等の対策が一部で行われている。 (4)作業事故の減少と身体的負担の軽減のためには,畦畔法面の緩勾配化よりも小段の設置が重要である。そのための減歩を生じない小段の設置を提案し,法面中段と法先部分への小段の配置・形状を示した。 (5)圃場整備の中に除草作業の軽減をするための方策を導入するための技術的条件と,計画的条件を明らかにした。この条件に基づいて山間急傾斜地域で圃場整備計画を樹立し,農家から好評を得た。
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