研究概要 |
児島湾と笠岡湾干拓地における5地区の盛土工事に対して有限要素圧密解析を行い,軟弱地盤の挙動予測方法を提案するとともに,盛土の形態や地盤改良工法の特質が軟弱地盤の挙動に与える影響について検討した。5地区は,サンドコンパクション工法,カードボードドレーン工法および袋詰めドレーン工法で地盤改良され,沈下,間隙水圧,側方変位などが観測された。本研究の解析には,平面ひずみおよび軸対称線形弾性圧密解析を適用した。ヤング率,ポアソン比,透水係数は,標準圧密試験および塑性指数から決定した。解析値と観測値の比較から,次のことが明らかになった。 1.地盤改良工法の違いにかかわらず,本解析法により沈下傾向をほぼ表現できたが,カードボードおよび袋詰めドレーン工法に対しては軸対称解析結果が,また,サンドコンパクション工法に対しては強制変位を与える方法が良い結果を与えた。 2.観測値を用いた逆解析法により,二次圧密を考慮したときの二次圧密開始時間・二次圧密係数を客観的に同定することができた。 3.盛土縁から観測地点までの距離(X)を盛土区間(L)で正規化し,異なった地点の比較を行った。この結果,間隙水圧の誤差指標はX/Lが大きい程大きくなるが,誤差指標変化率は変わらなかった。また,側方変位は,誤差指標も誤差指標変化率もX/Lが大きい程大きくなった。 4.盛土中央では,どの地区も誤差指標は0.5から24%の低い値を示した。 5.盛土面積の小さい地区の誤差指標は大きかったのに対して,誤差指標変化率はほぼ零であった。一方,盛土面積の大きい地区では誤差指標と誤差指標変化率はともに小さい値を示した。
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